ゆーさんのサウナインタビュー第1回目では、ゆーさん流のサウナでととのう(気持ちよくなる)方法を教えていただきました。第2回目のテーマは「大自然の中でテントサウナを楽しむ」です。
コロナウイルス感染症による自粛ムードのなかでもサウナを楽しむために、ゆーさんが購入したのは何とロシア製の「テントサウナ」でした。それは一体どんな体験なのか、一緒に覗いていきましょう。
コロナがきっかけでテントサウナを購入
TAL:ゆーさんは週に4〜5回と頻繁にサウナに出かけていらっしゃるわけですが、コロナウイルス感染症による自粛期間はどうされていたのでしょうか?
ゆー:それはもう…人に気を使いながらサウナに行くのが本当に嫌でした。行くにしてもコソコソとした感じで「サ活※1」もつけずに行くわけです。
それで、自分に嘘をつきながらサウナに行くぐらいなら「1人で山の中でサウナをしてやろう!」と思ってテントサウナを買いました。
TAL:テント式のサウナですか!
ゆー:実際にやってみると良かったですよ。テントサウナには温度や湿度の調節も自由ですし、目の前には川があるから飛び込んだら冷えるので水風呂効果も得られます。自分がやりたいようにできるメリットがありました。
一方で、準備も後片付けも大変ですからサウナ施設のような「ホスピタリティーがない」とも言えます。一長一短はあるのですが、コロナの重圧からは開放されました。
※1 サ活 自身のサウナ体験をログで残すこと。その記入先はサウナ情報サイト「サウナイキタイ」。その月に行った施設、週に何度行ったか、とある施設のサウナと水風呂の平均温度などを統計で出してくれる。エピソード1も参照 |
テントで温まり、冷たい川に飛び込む
TAL:ゆーさんがテントサウナをどのように楽しんでいるのか教えてください。
ゆー:元々キャンパーなのでテントに対するハードルが高くありませんでした。前よりもキャンプに行くようになったという感じです。
準備としては、タープを張ってテントとサウナをたてます。サウナに火を入れてから温まるまでの間には、お米を炊くなどキャンプ周りを整えます。最後は薪を調節してサウナの温度を整えたら準備はOK。服をポーン!と脱いでサウナに入ります。
TAL:服をポーン!?
ゆー:ははは。サウナにはサウナパンツを履いて入り、屋外での休憩はサーフィンポンチョを着て休みます。サウナポンチョも売っていますが、多くのサウナーはサーフィン用を使っていますね。河原は風がよく通るのでサウナの休憩中は寒いからサーフィン用ポンチョの暖かさが丁度いいんです。
ゆー:はたから見た様子は「サウナに入って温まってヘトヘトになったおじさんが、テントから出てきたと思ったら、よろけながら川に落ちていった」みたいな感じです。目撃した人は「寒い中、なぜあいつは川に飛び込んでるの?」と面食らっていました。
TAL:笑。確かにそう見えそうです。
ゆー:キャンパーもそうですが、実はサウナーも11月ごろからがオンシーズンです。夏は虫と暑さという天敵がいますから。私たちにとって秋冬は川の水温が下がってくる上に、焚き火などキャンプの醍醐味も味わえる最高のシーズンなんですよ。
サウナはもともとフィンランドあたりの文化(※2)です。本場では湖のほとりにサウナ小屋を建てて、アヴァントというのですが、湖に張った氷を丸く削ってサウナから出たらそこにポンッと飛び込みます。雪国では気温が−40℃ぐらいまで下がるので、最低0℃以上ある水の中のほうが温かい。
だから日本の寒さは大したことはありません。サウナ的にはちゃんと気持ちよくなれる冷たさです。
TAL:サウナー的には秋冬の川の水が丁度いいのですか!ひえぇ〜。
ゆー:水風呂の温度が10℃以下の水風呂を「シングル」や「グルシン」といって、ベテランサウナーは喜んで入る温度です。
それに比べての川の水温は15〜16℃あるので一般的なサウナ施設の水風呂と同じぐらいでちょうどいい気持ちよさですね。ちなみに、先日の11月の川の水は10.1℃でした。
TAL:テントサウナをする時に川の温度を測っているのですね。
ゆー:温度計を持っていっています。水温は「サ活」に書かないといけないので
サウナ後は、焚き火を囲んでメスティンでご飯を炊いて食べたり、豆を挽いてコーヒーを淹れたりと「サ飯※3」を楽しみます。楽にしたい時は日清のカップヌードルは死ぬほどうまいです。山の中で食べる、焚き火で沸かしたお湯でつくる、寒い中でのカップヌードル!
TAL:すごく美味しそうです。
※2 フィンランドのサウナ フィンランドあたりのサウナ小屋が湖畔に多い理由は、最初は水風呂目的ではなく、防火技術が乏しかったので火災が起こったらすぐに水を確保できる場所が良かったからだという。サウナで「ととのう」ためのお作法も、温まった昔の人が「熱い〜!」と湖に飛び込んでみたら気持ちよくなったという偶然の産物だったのかもしれない。 |
※3 サ飯 サウナ施設にある名物料理や、サウナの後に食べると美味しく思えるごはんのこと。 |
薪ストーブの香りにうっとり
TAL:実際にやってみて、テントサウナの醍醐味は何でしたか?
ゆー:薪ストーブの香りです。サウナストーブの種類はいくつかあります。温浴施設ではガス式のストーブが多くて一番少ないのが薪ストーブです。池袋のかるまるには薪ストーブのサウナ室もありますよ。
テントサウナではこの希少な薪ストーブを楽しめます。薪ストーブは、薪をくべる量で温度を調節します。ストーブの上には香花石(サウナストーン)を置きます。花崗岩の親戚のような石で、マグマが冷えて固まってできているので熱しても弾けにくいですし、蓄熱性が高いのでサウナに適しています。
サウナ石の中には「トントゥ」というサウナの妖精ストーンも置いています。かわいいですよ。
TAL:「トントゥ」は可愛いですね!それにサウナ用の香花石ですか。いい香りがしてきそうな名前です。
ゆー:いい香りですよ。ロウリュと言って、サウナ石の上にアロマを溶かし込んだ水をじゃ〜〜っとかけます。香りがたちこめるだけでなく、この動作で温度や湿度も調整しています。
一般的な温浴施設では温度80度、湿度12%(※4)ぐらいにしますが、テントサウナでは気分によって自由にロウリュをしますので湿度は0~100%になることが多いです。複数名の時や、私がアウフグースをする時は、参加者の体調や顔色を見ながら扇ぎます。やれと言われればどんどん熱くしていきますよ。先日はベテランばかりだったので「本当に火傷するかと思った」と言われるほどの熱風を送りました。その時の皆さんの気持ちよさそうな顔といったら!
TAL:サウナストーンにアロマ水をジュッと。うっとりする響きですね。ゆーさんはどんな香りを好んで利用されているのですか?
ゆー:私は樹木系が好きで、1番はクロモジです。3mlで5,000円ぐらいするので貴重ですよ。次にタール(ヨーロッパアカマツを精製したもの)ですね。そしてヒノキ。フィンランドのサウナブランド「RENTO」のロウリュ専用アロマオイルをよく使います。
テントサウナにはアロマオイルは20〜30種類を持っていき、1回のサウナでも香りを変えて楽しんでいます。人気があるのはブラックフォレストで樹木系とフローラル系が混ざった本当に心が落ち着くいい香りがします。私はこの香りはケミトロン社のアロマを使っています。レアなので値段は高いです。(笑)
※4 サウナ内の温度80度、湿度12% 温浴施設にあるサウナ室内の理想的なセッティングと言われている。錦糸町のニューウィングでこの温度と湿度が採用されていることは有名。 |
大自然の中で1人、最高にととのう
TAL:テント内での過ごし方も教えてください。
ゆー:テント内ではキャプテンスタッグのリビングベンチに座って温まっています。サウナ後に川に飛び込んだ後は、コールマン(Coleman) のインフィニティチェアの上で休憩をとります。この上で休んでいると、ととのいます。
TAL:山の中で「ととのう」のは気持ちいいのでしょうねぇ〜!
ゆー:そうですね。山なので秋には紅葉が滲んで色が混ざって流れていく感じでした。夏は色んな濃淡の緑と茶色が混ざって良かったです。インフィニティーチェアに座っているので視界は大体上の方をみている関係で、空に落ちていく感じがあったりもします。
「ととのう」は便利な言葉です。整頓されている状態になっている。気持ちもそうですし生活のクオリティーもそう。今はサウナのおかげで生活全般がととのっていると感じています。
テントサウナでトランクルームが必要になるなど生活のコストはかなり上がりましたが、買ってよかったです。
サウナに「はよいけ!」
TAL:ゆーさんにとってサウナとは何でしょうか?
ゆー:サウナは私のライフスタイルの一部です。仕事の集中をととのえるのもサウナ、睡眠の質を上げてくれるのもサウナです。仕事ではより少ない労力でパフォーマンスを出すことができるようになりましたし、昔は全然眠れませんでしたが、今はズコンって寝ることができます。決して主役ではありませんが、あってくれれば嬉しいものですよ。
TAL:最後に「サウナの楽しさを知る前のご自身」に一言お願いします。
ゆー:1つしか無いですね。「はよいけ!」と。サウナにハマった人は全員言いますよ。「なんで俺、もっと早うサウナを知らんかったんやろう?」って。
横目でサウナ室や水風呂に飛び込んでいるおじさんたちを見て「あほやなぁ」って思ってた頃の自分が本当にあほやと思います。めちゃくちゃいいサウナがある施設に行っているのに、サウナに入らずに帰っていたわけです。昔の自分には「はよう、サウナに入れ!」しかないですね。
TAL:私もサウナに行きたくなりました。今日はありがとうございました!